基本物性について

1.概要

ドペル社蓄光製品/ハイブリッドストーン・アベイラス・アルシオールは、電気エネルギーを一切必要とせず、自然光(太陽光)や照明光を吸収し、夜間または周辺の環境照度が低下し暗くなった状態において、高輝度に自発光する性質を持つ高機能素材である。

日没後、暗所で12時間経過した後も10mcd/㎡以上の高い輝度を保つため、夜間における歩行者向け案内標示に有効であり、また、発光部と非発光部の輝度比が終日5程度以上を維持できるため、歩道や公共施設等のバリアフリー化に貢献できる。

製品の素材には基本物性が異なる硬質素材と軟質素材があり、硬質素材製品を「ハードタイプ」、軟質素材を「フレキシブルタイプ」と呼ぶ。

また、表面仕上げには、磨き仕上げを施した「ポリッシュ」と防滑仕上げを施した「アンプロップ」の2種類がある。汚れの付着による発光性能の低下を防ぐため、アルシオールについては基本的に磨き仕上げ(ポリッシュ)とするが、濡れやすい床面や階段、段差に施工する場合、アルシオールステップのように、滑り抵抗値が高いアンプロップ(防滑仕上げ)と組み合わせた製品を用いる。

2.基本物性

基本物性を表1に示す。コンクリートやモルタルなど通常下地にはハードタイプを用いて施工するが、金属やFRPなど変形しやすい下地や曲面形状の場合は下地追従性が高いフレキシブルタイプを用いる。

また、アルシオール床面に施工する場合、水で濡れた場合、滑り抵抗値が高いアンプロップ(防滑仕上げ)を用いる。

耐衝撃性は施工する下地の仕様によるが、表1には厚さ40mmのコンクリート平板に施工マニュアルで指定しているエポキシ系接着剤で接着し、気温20℃下で48時間養生後、質量1kgの鉄球を高さ2mの位置から3回落下させた時の目視観察結果(写真1、写真2)を示す。また、耐圧荷重は下地の耐圧荷重仕様に準じる。

※写真のため、暗所において肉眼で見た印象とことなる場合があります。

表1 基本物性

項 目 標準性能(値) 試験結果 準拠試験方法等
ハードタイプ*1 フレキシブルタイプ*2
比重 2.6以下 2.4 2.4 JIS K 7112
吸水率 0.14%以下 0.04% 0.05% JIS A 1509-3
曲げ強度 30N/ mm2以上 37.2N/ mm2 JIS A 1509-4
圧縮強度 100N/mm2以上 137N/mm2 JIS R 2206
ビッカース硬度 900HV1以上 1635HV1 1200 HV1 JIS Z 2244
耐衝撃性(基材接着状態) 破壊しないこと
(凹みは可)
異常なし
(若干の凹みあり)
異常なし
(若干の凹みあり)
1kgの鉄球を高さ2mの位置から落下
熱線膨張係数 0.2(x10-4/k)以下 0.16(x10-4/k) TMA(30℃と100℃の平均)
耐摩耗性 0.1mm以下 0.05mm 0.05mm JIS A 1451
耐凍結融解性 200サイクル後
異常なし
200サイクル後
異常なし
200サイクル後
異常なし
JIS A 5422
耐酸性
(3%塩酸溶液)
異常なし 異常なし 異常なし JIS A 5209
耐アルカリ性
(3%水酸化ナトリウム溶液)
異常なし 異常なし 異常なし JIS A 5209
耐候性 200時間照射後
異常なし
2000時間照射後
異常なし
2000時間照射後
異常なし
サンシャイン・カーボンアーク灯式耐候性試験
耐熱衝撃性 異常なし 異常なし 異常なし JIS R 1615
発光輝度 10mcd/㎡以上 14.5 mcd/㎡ 14.4 mcd/㎡ 飽和励起後、
23±2℃の気中で12時間後
アンプロップ
(防滑仕上げ)
滑り抵抗値
介在物:水
C.S.R値0.45以上
BPN値40以上

C.S.R値0.83
BPN値59

C.S.R値0.75
BPN値59

JIS A 1454
ASTM E 303

3.解説

【比重】

ハードタイプ、フレキシブルタイプとも比重は2.4である。

天然御影石・石英石:2.6、アルミ:2.7、鉄:7.9、アクリル板:1.2

高硬度石英成形板は石英石を少量のMMA(アクリル系樹脂)で高密度に成形したものであり、天然御影石よりも比重が小さく、薄いので軽量かつ施工性に優れる。

【吸水率】

ハードタイプが0.04%、フレキシブルタイプが0.05%と殆ど吸水性がないので汚れや臭いの染み込みがなく、寒冷地での凍結融解の作用も受けない。

《参考》天然御影石:0.1~1%、Ⅰ類(旧磁器質タイルに分類):3%以下

【曲げ強度】

ハードタイプについては、これまで2010年に改訂されたJIS A 5209:2010(陶磁器質タイル)の試験方法に準拠した曲げ破壊荷重を記載していたが、更にJIS A 5209:2014(セラミックタイル)へと改訂されたのを機に、石材やコンクリート、プラスチックなど他素材との比較ができるよう、性能値の表記をJIS A 1509-4(セラミックタイル試験方法-第4部:曲げ破壊荷重及び曲げ強度の測定方法)の「曲げ強度」の算出方法による性能値表記とした。

天然御影石の3倍以上の曲げ強度を有しているため薄板・軽量化が可能となった。

フレキシブルタイプは可撓性材料なので曲げ強度の試験は非実施。

《参考》稲田御影石:約10 N/ mm2、高強度コンクリート:5~7 N/ mm2

【圧縮強度】

ハードタイプの圧縮強度は天然御影石や高層建築物の柱等構造材に使う高強度コンクリートと同等である。

稲田御影石:約150N/ mm2、高強度コンクリート:約100N/ mm2

【ビッカース硬度】

アベイラス製品は表面硬度が極めて高く、重歩行の床面に使用してもキズが付きにくく、殆ど摩耗しない。ハードタイプは鉄の4倍、フレキシブルタイプは鉄の3倍の表面硬度を有している。

鉄:約400HV1、天然御影石:約800HV1

【熱線膨張係数】

ハードタイプの線熱膨張係数は鉄やコンクリート、御影石よりやや大きく、アルミニウムよりやや小さい。よって、屋外等温度変化が大きい場所に施工する際は、伸縮(弾性)目地を使用し目地割れや浮きを防ぐ必要がある。

御影石:0.08(x10-4/k)、コンクリート:0.10(x10-4/k)、鉄:0.11(x10-4/k)、SUS304:0.17(x10-4/k)、アルミニウム:0.23(x10-4/k)

【耐摩耗性】

アベイラス製品は表面硬度が極めて高く、重歩行の床面に使用してもキズが付きにくく、殆ど摩耗しない。実歩行回数と摩耗量の相関性が把握できるとされているJIS A 1451(回転円盤の摩耗及び打撃による床材料の摩耗試験方法)による試験後の摩耗量がアベイラスはハードタイプ、フレキシブルタイプとも0.05mmと殆ど摩耗しない。JR東日本の新宿駅や四ツ谷など、1日で数十万人歩行者が通行するJR駅構内床にアベイラス・アンプロップを施工し約10年経過後でもほとんど摩耗がなく、防滑性能を維持している。

一般的なビニル床タイル:約0.3mm、耐摩耗性ビニル床タイル:約0.1mm、

一般的なモルタル床:約2.0mm、耐摩耗モルタル床:約0.8mm

【耐凍結融解性】

アベイラス製品は吸水性がほとんど無いため、陶磁器質タイルやコンクリートのように凍結融解作用を受けない。

【耐薬品(耐酸・耐アルカリ)性】

アベイラス製品はアンモニア臭が染み込まず、トイレで使う酸性洗浄剤やアルカリ洗剤にも耐性が高い。

【耐候性】

アベイラス製品はサンシャイン・カーボンアーク灯式耐候性試験で2000時間照射後でも異常がなく、発光性能の低下もほとんどない。100~200時間が屋外での暴露1年に相当すると言われており、屋外に施工しても10~20年の耐候性が見込める。

1999年からアルシオールの屋外設置が始まり、設置から10年以上経過した物件は数十件あるが、いずれも設置当初の発光性能をほぼ維持している。