ハイブリッドストーン「アベイラス」とは

ハイブリッドストーン(高硬度石英成形板)『アベイラス』は国内外の広範囲に渡り、組成及び製造プロセスの基本特許のみならず、蓄光性能や防滑性能、高硬度軟質機能等々、数多くの周辺特許、応用特許を取得し、更にそれら特許を支える膨大かつ独自の製造技術ノウハウ等によって守られた唯一無二の高機能ハイブリッド素材である。

1.基本特許概要

① 透明性の高い天然のクォーツ(石英石)を細粒状に粉砕・粒度調整したものを基本骨材として使用

② 耐久性・耐候性・透明度・強度面に優れたMMA(メチルメタアクリレート)樹脂の組成率を15%以下に抑えバインダーとして使用

③クォーツ(無機素材)とMMA樹脂(有機素材)を高密度にハイブリッド成形する製造プロセス

2.高硬度石英成形板の位置付け

「ハイブリッドストーン(高硬度石英成形板)」は、強度や耐久性、意匠性などの優れた基本性能と蓄光機能や防滑機能、高硬度軟質機能などの高付加価値機能により、建材としてのみならず、車両や船舶、サインなど多岐に渡る用途で活用されているマルチファンクション素材である。

床や壁の仕上材として数多く採用されているため、建設系物価書籍では「人造石」の分類中で従来からある「人造大理石」「人工大理石」とは一線を画す新ジャンルの素材として捉えられている。建材としての分類については、各辞書や百科事典、専門書において定義等、諸説あるが、概して図1のような位置付けで捉えることができる。

図1 高硬度石英成形板の位置付け

3.全体解説

  • 一般的に「人造石」とは天然石を模造して人工的に作られた建築材料のことをいうが、天然石を破砕した細粒骨材(粉体)結合材で固めたものを「人造大理石」、水酸化アルミ等人工の無機粉体樹脂結合材で固めたものを「人工大理石」に分類する。
  • 「人造大理石」について、天然の大理石等をセメントで固めたものを「セメントテラゾー」樹脂で固めたものを「レジンテラゾー」と呼称している。
  • 「レジンテラゾー」で使用する樹脂(結合材)は「ポリエステル系樹脂」または「エポキシ系樹脂」が大半を占める。
  • 「人工大理石」には人工の材料のみで構成されている建築材料が分類される。テラゾーで使用する骨材(粗粒、細粒、微粒)の替わりに水酸化アルミニウムや炭酸カルシウム等の人工精製された無機粉体を樹脂で固めたものが一般的である。
  • 「アクリル系(MMA)樹脂」で固めたものを「アクリル系人工大理石」「ポリエステル系樹脂」で固めたものを「ポリエステル系人工大理石」と大きく2つに分類できる。
  • アクリル系及びポリエステル系人工大理石を比較すると、コスト以外の物性や意匠についてはアクリル系人工大理石に軍配が上がる。(表1参照)

表1 アクリル系及びポリエステル系人工大理石の比較

  • ポリエステル樹脂は常圧下でも硬化過程での発泡がほとんど無く、温度管理や取扱いが容易なため、汎用樹脂として建材にも広く使われて来た。
  • アクリル(MMA)樹脂は、優れた強度と透明性、そして屋外でも、劣化しない耐候性に優れていることからプラスチックの女王とも称されているが、硬化過程における温度や圧力の管理が非常に繊細つ複雑で非常に高度な成形技術を要する。
  • キッチンや洗面カウンタートップとして、世界で初めてアクリル(MMA)樹脂を使用した製品が米国デュポン社の「コーリアン」であり、長い間、カウンタートップの高級ブランドとして君臨してきた。
  • 近年、カウンタートップ市場において「ポリエステル系人工大理石」と「レジンテラゾー」の良いところを掛け合わせ、かつ、無機質細粒骨材に付加価値の高い(高硬度、低吸水率、透明性が高いなど)材料を使用したものが「エンジニアリングストーン」又は「エンジニアドストーン」というジャンルの製品としてカウンタートップ市場で台頭してきている。
  • 人造石の歴史や分類を分析すると、その取扱いの難しさと高度な成形技術を要求されることから、結合材(バインダー)にアクリル(MMA)樹脂を使用しているのは「アクリル系人工大理石」と「高硬度石英成形板」のみであり、その他全てについてはセメントやポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を結合材としている。

4.ハイブリッドストーン(高硬度石英成形板)とは

4.1.アクリル系人工大理石との違いについて

  • 前項の最後で「ハイブリッドストーン」が「アクリル系人工大理石」と同じく、アクリル(MMA)樹脂を結合材とした素材であることに言及したが、両者の違いについて表2に示す。

表2 ハイブリッドストーンとアクリル系人工大理石の比較

【材料構成】

  • 両者の材料構成で大きく違う点は、骨材を使用しているか否かとその組成比率である。
  • 「ハイブリッドストーン」は全組成中の約2/3を天然石英石(クォーツ)細粒骨材が占めており、残り1/3を少量の水酸化アルミとMMA樹脂で構成している。
  • 一方、「アクリル系人工大理石」は主に水酸化アルミ等の人工無機質充填材とMMA樹脂で構成されている。

【意匠性】

  • 意匠性については、両者の材料構成が大きく関わっている。多量の透明性の高い天然石英石細粒骨材で構成される「ハイブリッドストーン」は同じく透明なMMA樹脂との相乗効果により、光が素材内奥まで入り込み、屈折、反射するため、天然御影石と同等以上の深みや高級感のある意匠を実現している。
  • 一方、「アクリル系人工大理石」は「ポリエステル系人工大理石」との比較ではメリットとして捉えられるMMA樹脂の透明感も「高硬度石英成形板」の透明感や深みと比較すると明らかにプラスチック的、表面的な印象は拭えない。

【物性】

  • 両者の物性で最も違う点はその表面硬度にある。「ハイブリッドストーン」の表面硬度がビッカース硬度で1635HV1と鉄の約4倍であるのに対し、「アクリル系人工大理石」のそれはビッカース硬度では測定不能であり、鉛筆硬度4H程度と比較にならないほど低い。
  • 結合材にMMA樹脂を使用している点で、「耐候性」「耐水性」「耐熱性」については、両者とも、セメントやポリエステル樹脂等を結合材とした他素材に較べると優れているが、無機材料である天然石英石細粒骨材を多量に使用している「ハイブリッドスト―ン」は各物性とも「アクリル系人工大理石」の性能を大きく上回っている。

【コスト】

  • 現在、市場で流通している「アクリル系人工大理石」と同じサイズの「ハイブリッドストーン」カウンタートップであれば、大幅なコストダウンが可能である。

4.2.ハイブリッドストーン(高硬度石英成形板)のテクノロジー

  • 前項で述べたように、アクリル(MMA)樹脂は、硬化過程における温度や圧力の管理が非常に繊細かつ複雑で非常に高度な成形技術を要するため、長年、人工水酸化アルミ等充填材とMMA樹脂を主要構成とした「アクリル系人工大理石」以外のMMA樹脂を結合材とする人造石等の素材の実用化は皆無であった。
  • 「ハイブリッドストーン」の開発当時、天然石英石細粒骨材をMMA樹脂で高密度に成形するのは技術的に不可能とまで言われていた。
  • 「ハイブリッドストーン」の開発が成功すると、その発明の新規性と高度な製造技術が認められ、日本国内はもとより欧米やアジア等の主要各国で配合組成と製造プロセス等の基本特許を取得するに至った。
  • 水酸化アルミ等の人工無機質充填材とMMA樹脂を主役に据えた「アクリル系人工大理石」に対し、天然石英石細粒骨材を主役に、少量の人工水酸化アルミとMMA樹脂を準主役に据えたのが「ハイブリッドストーン」である。
  • 「天然石英石(クォーツ)無機質骨材」×「人工無機質充填材」×「MMA樹脂(有機材料)」技術を掛け合わせた三位一体のハイブリッド素材である。

4.3.統括

代表的な分類製品についてのハイブリッドストーンとの比較を表3に示す。

表3 比較表